会頭挨拶
東京医科大学名誉教授、国際医療福祉大学副学長・副大学院長
池田 徳彦

第127回日本外科学会定期学術集会開催にあたって
この度、2027年4月8日から10日の会期で東京国際フォーラムにて第127回日本外科学科定期学術集会を主宰させていただきます。このような機会を頂戴できましたこと、誠に光栄に存じております。会員、関係者の方々に心より御礼申し上げます。
東京医科大学外科にとりましても佐藤清一郎教授(第44回)、早田義博教授(第89回)に続き、本会の主宰は3度目であり、教室員、同門一同で伝統の重みを認識しつつ、懸命に準備いたします。
本学術集会のテーマを「変革、融合、調和 Innovation, Integration, Harmony」といたしました。科学全般、とりわけ医学の進歩は急速であり、異なる領域の進歩が融合して、相乗的に重要性を増し、大きな変革の源となります。そして質の高い医療の一部として応用され、社会に貢献いたします。本テーマはこの理想的な循環を促進できるよう、願いを込めました。
定期学術集会は外科領域の基盤となる普遍的な知識・技術と新たな知見を広く発信し、次世代の人材を育成、外科学の発展に寄与することが使命であります。
診療面では近年、低侵襲手術の進歩と標準化に加え、悪性腫瘍に対する個別的な治療戦略も進化し、外科治療が多様化してきました。腫瘍のゲノム診断やAIのさまざまな用途への導入など、次世代が修得すべき内容は高度かつ臨床、基礎の両面にわたります。
今回は先進的な医療の「変革、融合、調和」に関し、考察が深まることを特に期待しております。手術支援ロボットのさらなる進歩と適応拡大、AIを用いた医療支援、3次元画像、悪性腫瘍のプレシジョン医療、周術期治療の進歩など、近い将来に主流化し日常臨床に導入されていく分野は目白押しです。産学連携による技術革新は外科医が推進すべき事項であり、さまざまな企画を用意いたします。今までは暗黙知として伝承された内容さえも可視化され、実感できる段階に近づきたいと思います。
一方で、「自分らしい生き方を通して、生涯にわたって外科医を継続できる」、「高い目標に向かっていきいきと研鑽を行うことができる」ような環境の構築は日本外科学会が鋭意取り組んでいる事項であります。専門医制度、教育システム開発、働き方改革、医師の適正配置、ワークライフバランス、ダイバーシティ推進、国際性の涵養など、すべてが若手外科医のキャリア形成に深く関係します。解決困難な課題に対応すべく、担当委員会や有識者にセッションを企画いただきました。専門領域や年代を超えて熟議することが、これらの状況を前進させる唯一の道であります。外科医が元気になり、魅力を伝えることにより、医学生は安心して外科を志すことができるようになります。
個々の外科医が情報発信、議論を通して新知見を吸収し、自身の成長と自己実現、飛躍の機会となること、また、外科医の環境改善のヒントが生まれ、業務や研鑽を安心感を持って行えることを、第127回定期学術集会のミッションといたします。本学術集会にはすべての大学から3人以上の医学生が参加してくれます。最先端の技術や知識、外科医の実生活、10年後の外科学の姿を見聞できるプログラムも用意いたします。
会員の先生方におかれましては本邦の外科診療・研究の現状や新規の学術情報をご理解いただき、また相互交流の場を活用され、有意義な3日間となりますことを祈念いたします。奮ってご参加いただけますよう、お願い申し上げます。東京でお待ちしております。

