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 外科専門医修練カリキュラム
 
外科専門医修練カリキュラム(到達目標3)Q&A集
 
基本姿勢1:同一手術症例は1例とする
基本姿勢2:2臓器(領域)にまたがる時や,どちらにするか迷う時は,修練医本人が任意選択する
基本姿勢3:治療効果ではなく,手術野での実際の手術手技(切開,縫合)を重視する
 
Questionリスト
手術経験症例数をカウントする際の基本的なルールを教えてください.
一連の手術手技の中に異なる2臓器が含まれる場合も,「異なる臓器の異なる疾患に対する同時手術」として2例にカウントできますか?
「手術と同等の効果をもつ低侵襲治療法」について,もっと具体的に教えてください.
修練施設に記録が残されていない場合は手術経験にカウントできないのでしょうか?
外科以外の診療科の手術はカウントできますか?
疾患名や手術手技名を登録するとき,選択肢に該当するものが見当たらない場合はどうすればよいでしょうか?
病名や手術手技名を登録するとき,該当するものが複数ある場合はどうすればよいでしょうか?
該当する臓器や領域がわからない場合はどうすればよいでしょうか?
該当する臓器や領域が複数あるように思われる場合はどうすればよいでしょうか?
「<9>内視鏡手術―10例」の定義について,詳しく教えてください.
主病変の切除では助手を務めていたのですが,その後のリンパ節郭清で術者に変更となった場合,その症例は術者としてカウントできますか?
平成24年度からは外科専門医の更新に,手術経験が必須条件として加わることになりました.その手術内容にはどのようなものが含まれますか?
上記のルールは時代に伴い若干変遷してきているようですが,以前のルールはもう現在では通用しないのでしょうか?
現在は手術に従事しなくなったため,平成24年度以降に外科専門医の更新ができません.すると,外科専門医を基本領域とする内科系などの専門医(消化器病専門医,循環器専門医など)も更新できなくなってしまうのですが.
「<8>外傷(多発外傷含む)」に医原性のものも含まれますか?
 
 
手術経験症例数をカウントする際の基本的なルールを教えてください.
A1:
到達目標3に基本的なルールが記載されています.その末尾に,平成21年4月1日付で大変重要な“基本解釈”が追加されましたので,以下に抜粋します(平成23年1月25日付で改定済み).
 
手術経験症例数についての基本解釈:
 
到達目標3の「一定レベルの手術を適切に実施できる能力を修得し,その臨床応用ができる」ためには,手術手技はもちろんのこと,術前のICや周術期管理なども含めて経験することが,基本的な外科医教育として望ましい.この理念が尊重されないと,手術を「やりっ放し」の外科医を育成することになりかねない.この観点から350例以上(術者として120例以上)の手術症例を経験することが要求される訳である.
 
したがって,
 
1)
到達目標3注2(6)の「…異なる臓器の異なる疾患に対する同時手術の場合はそれぞれを1例としてカウントできることとする.ただし,手術記録に術式名として記載されていることを要する」の「異なる臓器」の定義は,領域(<1>消化管および腹部内臓,<2>乳腺,<3>呼吸器,<4>心臓・大血管,<5>末梢血管,<6>頭頸部・体表・内分泌外科)が異なる臓器と解釈するが,<1>消化管および腹部内臓に限っては,中項目(a.食道,b.胃・十二指腸,c.小腸・虫垂・結腸,d.直腸・肛門,e.肝臓・胆道・膵臓,f.脾臓,g.腹腔・腹膜・後腹膜,h.臓器移植)までが異なる臓器と解釈する.
 
2)
手術と同等の効果をもつ内視鏡治療やIVRなどの低侵襲治療法は,「一定レベルの手術を適切に実施できる能力」を養成するのには適当ではないので,原則として含めない.
 
一連の手術手技の中に異なる2臓器が含まれる場合も,「異なる臓器の異なる疾患に対する同時手術」として2例にカウントできますか?
A2:
一連の手術手技の中に含まれる場合は2例にカウントせず,どちらか一方の臓器を任意に選択し1例にカウントします(例 1~5).ただし,合併した異なる疾患に対する同時手術の場合は2例にカウントできます(例 6~7).
例1
大伏在静脈をグラフトとして摘出し冠動脈バイパス術を行った場合,「<4>心臓・大血管(d.虚血性心疾患―CABG)」または「<5>末梢血管(d.その他の末梢血管手術)」のどちらかを選択し1例としてカウントします.この時にグラフト摘出を術者,バイパス術を助手として行った場合,「<5>末梢血管(d.その他の末梢血管手術)」でカウントした場合のみ「術者」として登録できます.
例2
腹部大動脈瘤手術で腎動脈下部腹部大動脈置換術を行った場合,下の再建が総腸骨動脈以下であれば「末梢血管」になりますので,「<4>心臓・大血管」と「<5>末梢血管(a.動脈―膝関節以上の血行再建)」のどちらかを選択し1例としてカウントします.腹部大動脈から末梢動脈へのバイパス術も同様です.
例3
腹部大動脈瘤手術と下肢のバイパス手術を同時に行った場合,動脈硬化性病変に対する一連の手術操作とみなされますので,「<4>心臓・大血管」と「<5>末梢血管」のどちらかを選択し1例としてカウントします.
注1
心臓ペースメーカー植え込みと胸部大動脈瘤手術を同時に行った場合,一連の手術手技ではありませんが,同一臓器(心臓・大血管領域)ですので,いずれか一方のみを修練医が任意に選択し登録することになります.
例4
膵癌に膵頭十二指腸切除+門脈合併切除を行った場合,「<1>消化管および腹部内臓」と「<5>末梢血管(b.静脈―門脈・上腸間膜静脈血行再建)」の同時手術となりますが,一連の手術手技の中に含まれますので,どちらかを選択し1例としてカウントします.
注2
生体肝移植レシピエント手術も血行再建を伴いますので,同様に「<1>消化管および腹部内臓」と「<5>末梢血管」のどちらかを選択し1例としてカウントできます.
例5
多発外傷による腹部,肺,四肢,体表の同時手術は,外傷に対する一連の手術操作とみなされますので,「<1>消化管および腹部内臓」「<3>呼吸器」「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」「<8>外傷」のどれかを選択し1例としてカウントします.
例6
胃癌に対する胃切除と腹部大動脈瘤手術,あるいは胃癌に対する胃切除と胆嚢結石に対する胆嚢摘出術を同時に行った場合は,たまたま合併した別の病変であり,一連の手術手技に含まれるものではありませんので,2例にカウントできます.
例7
原発巣と遠隔臓器の転移巣を同時に切除した場合,例えば大腸癌に対する大腸切除と肝転移に対する肝切除を同時に行った場合は,それぞれが独立した一つの手術として成立し,一連の手術手技に含まれるものではありませんので,2例にカウントできます.
 
「手術と同等の効果をもつ低侵襲治療法」について,もっと具体的に教えてください.
A3:
開腹あるいは開創して行うものは手術経験にカウントできますが,経皮的処置・操作のみであれば,全身麻酔下に行ってもカウントできません.ただし,「<5>末梢血管(a.動脈―閉塞性疾患に対するPTA・ステント)」だけは例外です.
開腹して,あるいは腹腔鏡下で肝腫瘍にラジオ波焼灼術を行った場合はカウントできますが,経皮的に行うものは全身麻酔下であってもカウントできません.
以下に手術経験としてカウントできないものの例を列挙します(その他の手術にもカウントできません).ただし,皮膚切開を伴うものは「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」にはカウントできます.
<1>
消化管および腹部内臓
a.
食道―内視鏡下の食道ステント挿入
b.
胃・十二指腸―PEG
c.
小腸・虫垂・結腸―大腸内視鏡下のポリペクトミー・EMR・ESD(経肛門的ポリペクトミーは可)
d.
直腸・肛門―輪ゴム結紮術,痔核硬化療法
e.
肝臓・胆道・膵臓―PTCD,PTGBD,経皮的肝膿瘍ドレナージ術,PTPE(開腹による門脈枝塞栓術はカウントできる)
<2>
乳腺―乳房再建(シリコンインプラントによる)
<3>
呼吸器―気管支鏡下のステント挿入
<4>
心臓・大血管―ペースメーカーの電池交換,リード入れ替え,位置修正,追加リード留置,人工心肺装着,カテーテルアブレーションなど
<5>
末梢血管―IVHポート・動注ポート・透析用カテーテルの留置,経皮的心肺補助装置(PCPS)抜去術,カットダウン法によるカテーテル留置,デンバーシャント,VPシャント,下肢静脈瘤硬化療法,透析用内シャント狭窄に対するPTA(以上は血管縫合を伴えばカウントできる)
<6>
頭頸部・体表・内分泌外科―尋常性疣贅(いぼ)焼灼術・冷凍凝固術,ガングリオン穿刺術・圧砕法,滑液嚢穿刺吸引,デブリードマン
例2
審査腹腔鏡(staging laparoscopy)は,「①消化管および腹部内臓(g.腹腔・腹膜・後腹膜―試験開腹)」にカウントできません. ただし, 腹腔鏡下手術を予定して手術を行ったが, 遠隔転移などのために,結果として非切除となった場合には「①消化管および腹部内臓(g.腹腔・腹膜・後腹膜―試験開腹)」にカウントできます.
 
修練施設に記録が残されていない場合は手術経験にカウントできないのでしょうか?
A4:
記録がないとカウントできません.登録した手術経験は,すぐにweb上で指導医に確認,承認してもらいます.さらに認定試験の受験時には受験者をランダム抽出して,学会の担当委員が現地調査に赴き,手術経験の真偽を確認します.修練施設に残されている手術記録,手術簿,カルテなどの記録で確認することにしていますので,記録が残されていない場合は受験資格がなくなる可能性があります.また,「異なる臓器の異なる疾患に対する同時手術」の例外規定も,これらの記録で確認できない場合は認められません.
 
外科以外の診療科の手術はカウントできますか?
A5:
他診療科の医師が専門的に行う手術は含めず,外科で一般的に行う手術のみをカウントできます.他診療科に在籍中に経験した場合,外科の指導医がカンファレンスなどにおいて,あるいは個別に指導した場合はカウントできます(「指導」とは,手術の適応決定,および術式決定,あるいは手術の実施において,実質的な責任者として指示を出すことです).
例1
カウントできるもの―子宮外妊娠手術,卵巣のう胞茎捻転手術,睾丸捻転手術
例2
カウントできないもの―腎癌に対する腎摘出術,子宮筋腫に対する子宮摘出術,慢性硬膜下血腫穿頭術,口唇裂,骨折に対してのスクリュー固定や外固定,喉頭摘出術
 
疾患名や手術手技名を登録するとき,選択肢に該当するものが見当たらない場合はどうすればよいでしょうか?
A6:
近似したものを選択して登録し,備考欄に詳しい内容を入力してください.近似するものもない場合は「その他」を選択し,備考欄に詳しい内容を入力してください.
大腿ヘルニア→鼠径ヘルニア修復,臍ヘルニア→腹壁ヘルニア修復,ICD植え込み→心臓ペースメーカー植え込み
 
病名や手術手技名を登録するとき,該当するものが複数ある場合はどうすればよいでしょうか?
A7:
2つ以上該当するものがある場合は,任意の1つを選択して入力してください.
 
該当する臓器や領域がわからない場合はどうすればよいでしょうか?
A8:
もっともあてはまるものを選択して登録し,備考欄に詳しい内容を入力してください.
以下に例を列挙します.
気管切開→「<6>頭頸部・体表・内分泌外科(b.頸部―その他の頸部手術)」
多汗症に対する(胸腔鏡下の)交感神経遮断術→「<3>呼吸器(e.その他の呼吸器手術)」
術後後出血に対する再手術→「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」
皮膚切開を伴う処置(ポートやカテーテル挿入など)→「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」
開放創の再縫合→「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」
動脈閉塞に対する下腿切断→「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」
感染性粉瘤や毛嚢炎などの切開排膿→「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」
外痔核に対する切開血栓除去→「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」
乳房再建手術(シリコン皮下挿入)→「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」
皮下埋没ドレンの抜去(開創)→「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」
 
該当する臓器や領域が複数あるように思われる場合はどうすればよいでしょうか?
A9:
2つ以上該当するものがある場合は,任意の1つを選択して入力してください.
例1
腋窩付近のしこりを摘出したところ,病理で副乳腺と診断された場合,「<2>乳腺」あるいは「<6>頭頸部・体表・内分泌外科」のどちらかを選択して登録します.
例2
「ステントグラフト内挿術」は,手術野における用手的操作が末梢血管でステント留置部位が大動脈の場合,「<4>心臓・大血管」あるいは「<5>末梢血管」のどちらかを選択して登録します.
 
「<9>内視鏡手術―10例」の定義について,詳しく教えてください.
A10:
ここでいう内視鏡手術とは,消化管・気管などの管腔臓器の内視鏡検査下に行うものは含めず,腹腔鏡手術,胸腔鏡手術,縦隔鏡手術などを指します.内視鏡手術の10例だけは,他の8領域(分野)の登録症例と兼ねることができます.小開腹・小開胸を組み合わせた内視鏡補助下の手術や,開腹・開胸手術に移行した場合を含めます.しかし,内視鏡での観察後に通常の開腹・開胸手術を行った場合はカウントできません.
 
主病変の切除では助手を務めていたのですが,その後のリンパ節郭清で術者に変更となった場合,その症例は術者としてカウントできますか?
A11:
到達目標3の注1(2)に「『術者』とは,手術名に示された手術の主要な部分を実際に行った者である」とありますので,これに従ってください.乳腺以外では「リンパ節郭清術」という手術名は存在しませんので,それだけでは術者として登録できません.
 
平成24年度からは外科専門医の更新に,手術経験が必須条件として加わることになりました.その手術内容にはどのようなものが含まれますか?
A12:
外科関連専門医制度委員会の合意事項である「外科系の専門医とは,現在も手術に従事している現役の外科医であること」に基づき,従来の更新条件である学術集会出席などの研修実績に加え,5年間に100例以上の手術経験が必須となります.その内容や術式は,外科専門医の新規申請の場合に認められている手術経験と同じです.ただし,領域(臓器,分野)や術者・助手別の制限はありません.また,修練施設でない病院での手術も認められます.指導医による指導も必須ではありません.ただし,本人が手術に従事したことを証明できる病院の記録が必要です.
 
上記のルールは時代に伴い若干変遷してきているようですが,以前のルールはもう現在では通用しないのでしょうか?
A13:
過去3回,「外科専門医修練カリキュラム」は改定されています. 平成19年2月27日改定;現在の「外科専門医修練カリキュラム」の末尾の「参考手術手技一覧」のアンダーラインを付した部分が変更になりました.平成19年3月までに修練開始登録を行っていれば,開胸・閉胸や開腹・閉腹を認めることがあります.
平成21年4月1日改定;このQ&Aの1に抜粋した「手術経験症例数についての基本解釈」が追加になりました.平成21年3月までに経験した個々の手術は,改定前後のどちらのルールに従ってもよいことになります.
平成23年1月25日改定;到達目標3の注1~2,および「手術経験症例数についての基本解釈」が変更になりました.平成23年1月までに経験した「指導的助手」としての症例,および「切除と再建にそれぞれ長時間を要する手術を,それぞれ1例としてカウントできる」という例外は,認めることがあります.
 
現在は手術に従事しなくなったため,平成24年度以降に外科専門医の更新ができません.すると,外科専門医を基本領域とする内科系などの専門医(消化器病専門医,循環器専門医,乳腺専門医など)も更新できなくなってしまうのですが.
A14:
研修実績(学会参加)はあるものの,手術経験だけが不足のために更新できなくなった外科専門医には,新たな更新制のある認定資格「日本外科学会認定登録医」が与えられます.これを基本領域の資格として認めていただけるように,現在,日本消化器病学会,日本循環器学会などと調整を進めています.また,既に制度が廃止された日本外科学会認定医を基本領域の資格としている方は,この認定医が終身制であり更新制ではないために,いずれは更新資格として認められなくなる予定です.研修実績(学会参加)を積めば,認定医が「日本外科学会認定登録医」を取得できるような暫定措置を平成22~24年度まで行いますんので,必ず「日本外科学会認定登録医」を取得するようにしてください.
 
「<8>外傷(多発外傷含む)」に医原性のものも含まれますか?
A15:
含まれません.
 
(平成21年12月1日作成)
(平成22年5月6日改定:_を修正・変更しました)
(平成23年1月25日改定:赤字部を修正・変更しました)
(平成23年6月13日改定:緑字部を修正・変更しました)
 
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