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 外科専門医修練カリキュラム
 
外科専門医修練カリキュラム
 
(平成15年6月3日策定)
(平成19年2月27日改定)
(平成21年4月1日改定)
 
I.基本的事項ならびに関連事項
 
1.基本的事項
 
 
1)外科専門医について
 
 
 
(1)
外科専門医とは医の倫理を体得し,医療を適正に実践すべく一定の修練を経て,診断,手術および術前後の管理・処置・ケアなど,一般外科医療に関する標準的な知識と技量を修得した医師のことである.具体的には350例以上の手術手技を経験(うち120例以上は術者としての経験が必要)し,一定の資格認定試験を経て認定される.また,この専門医は消化器外科,心臓血管外科,呼吸器外科および小児外科などの関連外科(サブスペシャルティ)専門医を取得する際に必要な基盤となる共通の資格である.この専門医の維持と更新には,最新の知識・技術を継続して学習し,安全かつ確実な医療を実施していることが必須条件となる.
 
 
 
(2)
外科専門医は広告することができる医師の専門性に関する資格の一つとして,厚生労働省に認可されている(平成15年4月25日付).
 
 
2)修練医の資格について
 
 
 
日本国医師国家試験合格者で,日本外科学会に「修練開始登録」を行った者とする.
 
 
3)修練内容について
 
 
 
(1)
医の倫理を体得し,かつ,高度の外科専門的知識と技術を修得した外科専門医を育成し,もって国民医療の向上に貢献することを目的とする.
 
 
 
(2)
「卒後初期臨床研修」のカリキュラムによるための内科,小児科,産婦人科,救急医学などのローテーションとの調整を図りつつ,各サブスペシャルティの基礎部分(共通総論)を包含し,「外科専門医」であるべき内容とする.
 
 
 
(3)
卒後初期臨床研修での救急医学より,さらに外科的内容に重点をおいた救命・救急医療を必修とする.
 
 
 
(4)
施設格差をできるだけ是正したカリキュラムとする.
 
 
 
(5)
経験必須症例および経験技術等の到達目標数を明確にする.
 
 
 
(6)
卒後初期臨床研修期間の2年の間に積ませるべき修練は,カリキュラムの到達目標1と2を経験することが望ましいとする.
 
 
 
(7)
「卒後初期臨床研修」とは,平成16年から医師法第16条の2の第1項で規定された必修化のものを指す.
 
 
4)修練期間について
 
 
 
(1)
外科専門医受験資格としては,後述する修練カリキュラムにおける到達目標の達成度を重視する.したがって,日本外科学会の指定した外科専門医制度修練施設(以下,指定施設)における一定以上の修練期間は必要であり,これを卒後初期臨床研修期間を含んで「通算5年以上」とする.
 
 
 
(2)
修練開始後満4年以上を経た段階で,予備試験となる筆記試験を受験することができる.
 
 
 
(3)
修練開始後満5年以上を経た予備試験合格者は,後述の到達目標3に示された最低手術症例数を充足した段階で,認定試験となる面接試験を受験することができる.
 
 
 
(4)
)修練期間は修練開始登録を行った日付より厳密に算定され,登録以前に経験した手術症例などは一切認められない.ただし,卒後初期臨床研修期間満了後6カ月以内に修練開始登録した場合に限り,卒後初期臨床研修開始時まで遡って登録したとみなす.
 
 
5)指定施設について
 
 
 
(1)
指定施設およびその関連施設は,外科系の病床数,常勤している外科専門医および日本外科学会の指導医・認定医の数などを含め,外科の手術症例数,中央検査室・中央図書室・剖検体制の完備状況,病歴管理状況,他科との総合カンファレンス,合併症例や死亡例の合同カンファレンスなどの教育行事が定期的に開催され,かつ,その記録が整備されているかなど多方面からの審査により指定される.
 
 
 
(2)
指定施設ごとに修練実施計画が編成され,これに基づく修練が可能な修練医の適正数を定め,修練医の経験症例疾患と数の全国的な平均化を図りつつ,修練医の最低必要手術経験数を経験させなければならない.必要に応じ,他の指定施設や関連施設とも連携することになる.
 
 
 
(3)
指定施設は3年ごと,関連施設は毎年更新を行い,年次別の手術症例数その他を報告しなければならない.ただし,指定施設は毎年,勤務医師名簿や指導体制などを報告しなければならない.
 
 
 
(4)
指定施設および関連施設の指定更新は指定施設指定委員会の審査により行われる.また,必要に応じて現地調査を実施する.
 
 
 
(5)
指定施設および関連施設には指導責任者を置く.
 
 
 
(6)
外科的な救命・救急医療を必修とするため,一定期間(あるいは3カ月以上),日本救急医学会の認定施設で修練することが望ましい.
 
 
6)指導医について
 
 
 
(1)
指導責任者となるための指導医は,外科専門医または認定医のうち,所定の外科診療および外科研究に従事した期間,業績,および研究実績などの条件を満たした者が審査により選定される.
 
 
 
(2)
更新は年齢を問わず5年ごととする.ただし,指定施設または関連施設に勤務していなければ,更新することができない.
 
 
7)修練実施計画について
 
 
 
(1)
修練医は指導責任者の指示に従って,カリキュラムを達成し,後述の到達目標3の最低手術症例数をすべて経験するため,指定施設または関連施設における通算5年以上の修練の内容を具体的に明記した修練実施計画を編成しなければならない.
 
 
 
(2)
指導責任者は年次別修練可能医師数を含めた修練実施計画を指定施設指定委員会に申請し,承認を得なければならない.
 
 
 
(3)
修練医が指導責任者の指示により,途中で修練実施計画の内容を変更することは妨げない.
 
 
8)予備試験申請資格について
 
 
 
修練開始登録後,満4年以上を経過した者は,外科専門医のための予備試験受験を日本外科学会に申請することができる.ただし,申請時には日本外科学会会員であることを要しない.
 
 
9)認定申請資格について
 
 
 
修練開始登録後,通算5年以上の修練を行い,修練実施計画を修了し,最低手術症例数をすべて経験した者で,かつ,予備試験に合格した者は,外科専門医としての認定を日本外科学会に申請することができる.ただし,申請時には日本外科学会会員であることを要する.
 
 
10)修練の評価について
 
 
 
(1)
予備試験:後述の到達目標1,2について,MCQによる筆記試験を行う.試験内容のガイドライン,ブループリント等については,カリキュラムにおける到達度A,B,Cを考慮し,かつ,関連外科専門医の認定試験との整合性を図る.
 
 
 
(2)
認定試験:筆記試験合格者を対象に,原則として後述の到達目標4,5について試問する面接試験を行う.また,次の(3)(4)についても審査する.
 
 
 
(3)
診療経験:厳正な書類審査を行い,申請者が修練した修練実施計画の適否,修練期間,手術経験数,術技内容などが評価される.後述の到達目標3に規定する診療経験を証明する病歴抄録の確認審査にあたり,病歴の不実記載に対しては,修練を行った施設の指定取消などを含み,厳正に対処する.このため,必要に応じて現地調査を実施する.
 
 
 
(4)
業績:専門医認定委員会の定める学術集会における研究発表,または学術刊行物における論文発表などの業績審査を行う.
 
2.関連事項
 
 
1)外科専門医資格の更新制度について
 
 
 
(1)
更新は年齢を問わず5年ごととする.
 
 
 
(2)
更新には所定の研修実績を必要とする.研修実績とは合計30単位以上の学術集会への出席のことであり,資格を取得した年の3月1日を算定の起点とする.ただし,日本外科学会定期学術集会への出席1回(10単位)以上を必須とする.
 
 
 
(3)
研修実績の証明は参加証(写),または所定の証明書によって行う.ただし,天災,その他やむを得ない理由のため証明できない場合は,被災証明書,またはその他説明書をもって,専門医認定委員会が可否を判定する.
 
 
 
(4)
平成24年度以降の更新には,所定の診療実績も必要とする.診療実績とは100例以上の手術に従事した経験のことであり,資格を取得した年の3月1日を算定の起点とする.なお,指定施設や関連施設以外の施設での経験も対象とする.
 
 
 
(5)
診療実績の証明は指導責任者または施設長が行う.また,必要に応じて現地調査を実施する.
 
 
 
(6)
1度資格を失効した場合は,再受験を必要とする.
 
 
 
(7)
更新申請書に虚偽の記載が認められた場合は,その日から3年間,外科専門医の認定を申請することができず,本人の指導責任者または所属施設長にその旨を通告する.
 
 
2)移行措置・特例措置について
 
 
 
(1)
旧来の認定医認定試験は完全に廃止する.
 
 
 
(2)
現在の日本外科学会認定医は,本人の申請があれば一定の資格審査を経て外科専門医を取得することができる.つまり,現在の日本外科学会認定医を外科専門医へと読み替えることはしない.→移行措置.
 
 
 
(3)
各外科関連学会の現行制度下における専門医(認定医)が,それぞれの新制度下における関連外科専門医資格(消化器外科専門医,心臓血管外科専門医,呼吸器外科専門医,小児外科専門医)を取得した場合は,申請によって,1階部分の外科専門医資格を取得できる.なお,この者が日本外科学会認定医であれば,申請手数料を10,000円減額する.→特例措置
 
 
 
(4)
外科専門医資格取得を希望しない日本外科学会認定医は,日本外科学会会員である限り,従来どおり日本外科学会認定医として扱い,すべて終身有効とする.
 
 
 
(5)
上記(2)の移行措置の手続きをして日本外科学会認定医が外科専門医を申請できるのは,日本外科学会認定医資格取得2年後とする.
 
 
 
(6)
この移行措置可能期間は平成21年度まで,特例措置可能期間は平成22年度までとする.
 
 
 
(7)
上記(2)の移行措置における「一定の資格審査」とは,以下の事項を指す.
 
<1>
診療経験:申請時において,過去10年以内に術者60例以上,または術者+助手175例以上とする.
手術の内容については問わない.
 
<2>
研修実績:申請時において,過去10年以内に所定の学術集会に4回以上,うち2回は日本外科学会定期学術集会に出席すること.出席の証明は参加証(写),または所定の証明書によって行う.
 
<3>
筆記試験,面接試験は必要としない.
 
<4>
過去10年以内とは,申請時から溯って10年前の3月1日付のものからとする.
 
II.外科専門医修練カリキュラム
 
1.一般目標
 
1)一般目標1(総論的)
 
 国民のニーズにこたえるべく,レベルの高い均質な,包括的で全人的な外科診療を実践できる専門医を養成するため,以下の4項目を到達目標として,段階的に進む研修を実施する.研修期間は修練開始登録を行った後,卒後初期臨床研修を含み5年以上とする.
 
 
1)
外科専門医として,適切な外科の臨床的判断能力と問題解決能力を修得する.
 
 
2)
手術を適切に実施できる能力を修得する.
 
 
3)
医の倫理に配慮し,外科診療を行う上での適切な態度と習慣を身に付ける.
 
 
4)
外科学の進歩に合わせた生涯学習を行うための方略の基本を修得する.
 
2)一般目標2(各論的)
 
 卒後初期臨床研修を修了した後,外科学総論,基本的手術手技および一般外科診療に必要な外科診療技術を修得する.また,外科サブスペシャルティの特徴も修得させる.
 
 
1)
外科総合カリキュラムとして学習する.
 
 
2)
外科サブスペシャルティに共通する外科の基本的問題解決に必要な基礎的知識,技能および態度を修得する.
 
 
注1
基礎的知識とは外科に必要な局所解剖,病理・腫瘍学,病態生理,輸液・輸血,血液凝固と線溶現象,栄養・代謝学,感染症,免疫学,創傷治癒,術後疼痛管理を含む周術期管理,麻酔科学,集中治療,救命・救急医療(外傷・熱傷)などすべてを包括する.
 
 
3)
座学としてではなく,実地臨床症例を教師とし,体験から自己学習を促進する.
 
2.到達目標
 
1)到達目標1:外科診療に必要な下記の基礎的知識を習熟し,臨床応用できる.
 
 
(1)局所解剖:手術をはじめとする外科診療上で必要な局所解剖について述べることができる.
 
 
(2)病理学:外科病理学の基礎を理解している.
 
 
(3)腫瘍学
 
 
 
<1>
発癌,転移形成およびTNM分類について述べることができる.
 
 
 
<2>
手術,化学療法および放射線療法の適応を述べることができる.
 
 
 
<3>
抗癌剤と放射線療法の合併症について理解している.
 
 
(4)病態生理
 
 
 
<1>
周術期管理などに必要な病態生理を理解している.
 
 
 
<2>
手術侵襲の大きさと手術のリスクを判断することができる.
 
 
(5)輸液・輸血:周術期・外傷患者に対する輸液・輸血について述べることができる.
 
 
(6)血液凝固と線溶現象
 
 
 
<1>
出血傾向を鑑別できる.
 
 
 
<2>
血栓症の予防,診断および治療の方法について述べることができる.
 
 
(7)栄養・代謝学
 
 
 
<1>
病態や疾患に応じた必要熱量を計算し,適切な経腸,経静脈栄養剤の投与,管理について述べることができる.
 
 
 
<2>
外傷,手術などの侵襲に対する生体反応と代謝の変化を理解できる.
 
 
(8)感染症
 
 
 
<1>
臓器特有,あるいは疾病特有の細菌の知識を持ち,抗生物質を適切に選択することができる.
 
 
 
<2>
術後発熱の鑑別診断ができる.
 
 
 
<3>
抗生物質による有害事象(合併症)を理解できる.
 
 
 
<4>
破傷風トキソイドと破傷風免疫ヒトグロブリンの適応を述べることができる.
 
 
(9)免疫学
 
 
 
<1>
アナフィラキシーショックを理解できる.
 
 
 
<2>
GVHDの予防,診断および治療方法について述べることができる.
 
 
 
<3>
組織適合と拒絶反応について述べることができる.
 
 
(10)創傷治癒:創傷治癒の基本を述べることができる.
 
 
(11)周術期の管理:病態別の検査計画,治療計画を立てることができる.
 
 
(12)麻酔科学
 
 
 
<1>
局所・浸潤麻酔の原理と局所麻酔薬の極量を述べることができる.
 
 
 
<2>
脊椎麻酔の原理を述べることができる.
 
 
 
<3>
気管挿管による全身麻酔の原理を述べることができる.
 
 
 
<4>
硬膜外麻酔の原理を述べることができる.
 
 
(13)集中治療
 
 
 
<1>
集中治療について述べることができる.
 
 
 
<2>
レスピレータの基本的な管理について述べることができる.
 
 
 
<3>
DICとMOFを理解できる.
 
 
(14)救命・救急医療
 
 
 
<1>
蘇生術について述べることができる.
 
 
 
<2>
ショックを理解できる.
 
 
 
<3>
重度外傷を理解できる.
 
 
 
<4>
重度熱傷を理解できる.
 
2)到達目標2:外科診療に必要な検査・処置・麻酔手技に習熟し,それらの臨床応用ができる.
 
 
(1)下記の検査手技ができる.
 
 
 
<1>
超音波診断:自身で実施し,病態を診断できる.
 
 
 
<2>
エックス線単純撮影,CT,MRI:適応を決定し,読影することができる.
 
 
 
<3>
上・下部消化管造影,血管造影等:適応を決定し,読影することができる.
 
 
 
<4>
内視鏡検査:上・下部消化管内視鏡検査,気管支内視鏡検査,術中胆道鏡検査,ERCP等の必要性を判断することができる.
 
 
 
<5>
心臓カテーテルおよびシネアンギオグラフィー:必要性を判断することができる.
 
 
 
<6>
食道内圧検査,食道24時間pH モニター検査,直腸内圧検査,デフェコグラムなどの消化管機能検査:適応を決定し,結果を解釈できる.
 
 
 
<7>
呼吸機能検査の適応を決定し,結果を解釈できる.
 
 
(2)周術期管理ができる.
 
 
 
<1>
術後疼痛管理の重要性を理解し,これを行うことができる.
 
 
 
<2>
周術期の補正輸液と維持療法を行うことができる.
 
 
 
<3>
輸血量を決定し,成分輸血を指示できる.
 
 
 
<4>
出血傾向に対処できる.
 
 
 
<5>
血栓症の治療について述べることができる.
 
 
 
<6>
経腸栄養の投与と管理ができる.
 
 
 
<7>
抗菌性抗生物質の適正な使用ができる.
 
 
 
<8>
抗菌性抗生物質の有害事象に対処できる.
 
 
 
<9>
デブリードマン,切開およびドレナージを適切にできる.
 
 
(3)次の麻酔手技を安全に行うことができる.
 
 
 
<1>
局所・浸潤麻酔
 
 
 
<2>
脊椎麻酔
 
 
 
<3>
硬膜外麻酔
 
 
 
<4>
気管挿管による全身麻酔
 
 
(4)外傷の診断・治療ができる.
 
 
 
<1>
すべての専門領域の外傷の初期治療ができる.
 
 
 
<2>
多発外傷における治療の優先度を判断し,トリアージを行うことができる.
 
 
 
<3>
緊急手術の適応を判断し,それに対処することができる.
 
 
(5)以下の手技を含む外科的クリティカルケアができる.
 
 
 
<1>
心肺蘇生法―ALS(気管挿管,直流除細動を含む)
 
 
 
<2>
動脈穿刺
 
 
 
<3>
中心静脈カテーテルおよびSwan-Ganzカテーテルの挿入とそれによる循環管理
 
 
 
<4>
レスピレータによる呼吸管理
 
 
 
<5>
熱傷初期輸液療法
 
 
 
<6>
気管切開,輪状甲状軟骨切開
 
 
 
<7>
心嚢穿刺
 
 
 
<8>
胸腔ドレナージ
 
 
 
<9>
ショックの診断と原因別治療(輸液,輸血,成分輸血,薬物療法を含む)
 
 
 
<10>
DIC,SIRS,CARS,MOFの診断と治療
 
 
 
<11>
抗癌剤と放射線療法の有害事象に対処することができる.
 
 
(6)外科系サブスペシャルティの分野の初期治療ができ,かつ,専門医への転送の必要性を判断することができる.
 
3)到達目標3:一定レベルの手術を適切に実施できる能力を修得し,その臨床応用ができる.
 
 一般外科に包含される下記領域の手術を実施することができる.括弧内の数字は術者または助手として経験する各領域の手術手技の最低症例数を示す.
 
 
<1>
消化管および腹部内臓(50例)
 
 
<2>
乳腺(10例)
 
 
<3>
呼吸器(10例)
 
 
<4>
心臓・大血管(10例)
 
 
<5>
末梢血管(頭蓋内血管を除く)(10例)
 
 
<6>
頭頸部・体表・内分泌外科(皮膚,軟部組織,顔面,唾液腺,甲状腺,上皮小体,性腺,副腎など)(10例)
 
 
<7>
小児外科(10例)
 
 
<8>
外傷(多発外傷を含む)(10例)
 
 
<9>
上記<1>~<8>の各分野における内視鏡手術(腹腔鏡・胸腔鏡を含む)(10例)
 
 
 
注1
(1)
術者となるときは,指導責任者のもとに執刀する.また,当該分野の指導医また専門医と共に手術することが望ましい.
 
 
 
 
(2)
「術者」とは,手術名に示された手術の主要な部分を実際に行った者である.「助手」とは,手術の大部分を第1助手~第3助手として手術に参加した者である.
 
 
 
 
(3)
手術経験における「従事」とは,術者,あるいは助手として手術を行うことである.「指導」とは,手術の適応決定,および術式決定,あるいは手術の実施(従事)において,実質的な責任者として指示を出すことである.
 
 
 
 
(4)
「<5>末梢血管」の手術は,原則として血管自体を露出したり,縫合したりする手技を対象とする.穿刺術は対象としない.
 
 
 
 
(5)
「<7>小児外科」の手術は,原則として16歳未満が対象となる.
 
 
 
注2
(1)
修練期間中に術者または助手として,手術手技を350例以上経験する.
 
 
 
 
(2)
前記の領域別分野の最低症例数を,術者または助手として経験する.
 
 
 
 
(3)
前記の領域別分野にかかわらず,術者としての経験が120例以上であること.ただし,5年次以降に,外科専門医の資格を持たない研修中の医師に対して,手術の主要な部分の指導のために助手(指導的助手;teaching assistant)をしたときは,術者の症例数とみなすことができる.
 
 
 
 
(4)
上記の具体的疾患名・手術手技名については,日本外科学会が編纂する「外科学用語集」を基に別表に定める.
 
 
 
 
(5)
当該領域での修練中に経験した症例は,原則として当該領域の症例としてカウントする.
 
 
 
 
(6)
1件の疾患につき複数の手技が行われていても,1名がカウントできる手術経験は原則として1例とするが,切除と再建にそれぞれ長時間を要する手術や,異なる臓器の同時手術の場合はそれぞれを1例としてカウントできることとする.ただし,手術記録に術式名として記載されていることを要する.
 
 
 
 
(7)
最低症例数に関わらず,経験した症例はすべて提出する.
 
 
 
 
(8)
)<1>消化管および腹部内臓は,「消化器外科専門医修練カリキュラム」のカテゴリー1と同等とする.
 
○手術経験症例数についての基本解釈:
 
 
 到達目標3の「一定レベルの手術を適切に実施できる能力を修得し,その臨床応用ができる」ためには,手術手技はもちろんのこと,術前のICや周術期管理なども含めて経験することが,基本的な外科医教育として望ましい.この理念が尊重されないと,手術を「やりっ放し」の外科医を育成することになりかねない.この観点から350例以上(術者として120例以上)の手術症例を経験することが要求される訳であり,同一手術症例で2件以上の手技をカウントすると,その分,経験手術症例数は減ることとなり,望ましくない.
 
 
 
したがって,
 
 
 
1)
到達目標3 注2(6)の「1件の疾患につき複数の手技が行われていても,1名がカウントできる手術経験は原則として1例とするが…」の「1件の疾患」は「1手術症例」と解釈する.
 
 
 
2)
同 例外規定の「…切除と再建にそれぞれ長時間を要する手術」とは,それぞれ5時間以上かかった場合とし,手術記録にそれが記載されていることを条件とする.
 
 
 
3)
同 例外規定の「…異なる臓器の同時手術の場合はそれぞれを1例としてカウントできることとする.ただし,手術記録に術式名として記載されていることを要する」の「異なる臓器」の定義は,領域(<1>消化管および腹部内臓,<2>乳腺,<3>呼吸器,<4>心臓・大血管,<5>末梢血管,<6>頭頸部・体表・内分泌外科)が異なる臓器と解釈する.
 
 
 
4)
手術と同等の効果をもつ内視鏡治療やIVRなどの低侵襲治療法は,「一定レベルの手術を適切に実施できる能力」を養成するのには適当ではないので,原則として含めない.
 
4)到達目標4:外科診療を行う上で,医の倫理に基づいた適切な態度と習慣を身に付ける.
 
 
(1)
指導医とともにon the job training に参加することにより,協調による外科グループ診療を行うことができる.
 
 
(2)
コメディカルスタッフと協調・協力してチーム医療を実践することができる.
 
 
(3)
外科診療における適切なインフォームド・コンセントを得ることができる.
 
 
(4)
ターミナルケアを適切に行うことができる.
 
 
(5)
研修医や学生などに,外科診療の指導をすることができる.
 
 
(6)
確実な知識と不確実なものを明確に識別し,知識が不確実なときや判断に迷うときには,指導医や文献などの教育資源を活用することができる.
 
5)到達目標5:外科学の進歩に合わせた生涯学習を行う方略の基本を習得し実行できる
 
 
(1)
カンファレンス,その他の学術集会に出席し,積極的に討論に参加することができる.
 
 
(2)
専門の学術出版物や研究発表に接し,批判的吟味をすることができる.
 
 
(3)
学術集会や学術出版物に,症例報告や臨床研究の結果を発表することができる.
 
 
(3)
学術研究の目的で,または症例の直面している問題解決のため,資料の収集や文献検索を独力で行うことができる.
 
III.修練方略および評価方法・時期
 
 
1)
外科の修練(下図における卒後初期臨床研修期間を含めることができる)を開始し,満4年以上経過した時点で予備試験となる筆記試験を受験することができる.この筆記試験は,到達目標1,2の知識に関する部分が達成されたか否かを評価するために実施する.また,筆記試験に合格した者は,日本外科学会会員である限り,これを終身有効資格として認定し,仮に到達目標3の最低手術症例数未達成のために面接試験の申請資格不十分,または不合格であった場合でも,筆記試験を再受験する必要はない.
 
 
2)
<1>外科の修練(図における卒後初期臨床研修期間を含めることができる)を満5年以上経過した時点で,<2>予備試験に合格し,かつ,<3>到達目標3に示された最低手術症例数を充足した者は,面接試験を受験することができる.この面接試験は,主に到達目標4,5が達成されたか否かを評価するために行う.また,各関連外科専門医のための修練を行っている者にも配慮した内容とする.
 
IV.その他
 
 
1)
修練開始登録,修練実施計画の登録,病歴抄録の登録などは,いずれも日本外科学会のオンラインシステムを使用することを原則とする.ただし,日本外科学会会員でない場合は,別途修練開始登録申請料を必要とする.
 
 
2)
本カリキュラム策定は専門医修練カリキュラム改正委員会が担当し,また,下記の小委員会において検討が行われた
<1>手術経験検討小委員会
<2>修練施設群構成検討小委員会
<3>評価検討小委員会
<4>移行措置検討小委員会
<5>更新制度策定検討小委員会
 
図1
図 卒後年数と外科専門医および関連外科専門医カリキュラムの概要
 
※本ページ内の「<数字>」は、日本外科学会雑誌上では丸囲みの数字で表示されております。