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 新専門医制度に対する日本外科学会としての対応について
2016年6月27日
 
新専門医制度に対する日本外科学会としての対応について
 
一般社団法人日本外科学会
理事長 渡邉 聡明
 
 日本外科学会では、2002年から現行外科専門医制度を発足させ、2011年からはNational Clinical Database(NCD)を導入し、診療実績に基づく質の高い専門医制度を構築・運営してまいりました。2014年に日本専門医機構が発足し、国民から理解される共通基準に準拠して認定された「日本専門医機構認定専門医」が将来は標榜科や診療報酬と関連する「公的な資格」となるとの構想が示され、日本外科学会としてもその制度構築に協力してまいりました。病院群によるプログラム制を導入し、研修を受ける専攻医にとってプログラムごとの手術症例数、指導医数や育成過程が明確に可視化された質の高い制度とする日本専門医機構の基本方針に沿って、日本外科学会は外科専門研修プログラムを構築してまいりました。
 日本外科学会会員の皆様におかれましては多大なるご理解とご支援を頂き、2016年2月1日の締め切りまでに外科専門研修プログラムとして188プログラムを申請して頂きました。日本専門医機構の外科領域専門医研修委員会としてプログラム1次審査を担うこととなった日本外科学会専門医制度委員会は、日本外科学会事務局とともに
1.
プログラム参加施設が存在せず空白となっている2次医療圏の精査と空白回避
2.
現行制度で指定施設、関連施設となっているが、新制度に参画していない施設への参加希望問い合わせとプログラム参加斡旋
3.
NCD登録数、指導医数に加えて地域性、プログラム規模を考慮した募集定員の適正化
4.
500床以上の大病院だけで構成されたプログラムの是正と地域連携の推進
 
など地域医療へ影響、激変を極力回避するための作業を行い、2016年5月にはプログラム1次審査を終えて、日本専門医機構による2次審査を待つ状況となっておりました。
 一方、皆様も報道などでご存じの通り日本医師会、四病院団体協議会、厚生労働省、地方自治体など各方面の皆様から新制度発足による地域医療への影響についての懸念が示されておりました。これを受けて、厚生労働省社会保障審議会医療部会に「専門医養成の在り方に関する専門医委員会」が発足し、同委員会からは「日本専門医機構として2017年4月から19基本領域一斉に新制度をスタートさせるのではなく、準備が整った領域についてまず学会が主体となって新制度を試行すること」が提案されました。その結果、2016年6月 9日、日本専門医機構より各基本領域学会に対して「新専門医制度を日本専門医機構が19基本領域一斉に2017年4月からスタートさせる予定を延期し、2017年度については専門医制度運営を各学会に委ねる」旨の通知がなされました。
 現在、日本外科学会では、2017年度外科専門研修について日本外科学会としてどのように対応するか、各方面の皆様のご意見を伺い様々な課題を解決しながら協議を重ねております。一方、2017年度から外科専門研修を開始する皆様の不安を一刻も早く解消し、これ以上の混乱を回避する必要がございます。
 そこで日本外科学会は、現時点で次のような方向性をお示しいたします。
1.
日本外科学会としては、研修を受ける専攻医にとって手術症例数、指導医数、修練期間・過程などが明確に可視化され、質が担保されたプログラムによる責任を持った専門医育成・認定システムの構築を今後も行ってまいります。
2.
2016年7月末を目処に十分に準備が整った場合、2017年度から新しいプログラム制を開始いたします。
3.
2016年7月末までに十分な準備が整わなかった場合、2017年度は現行外科専門医制度による認定を継続いたします。この場合、現行制度の日本外科学会指定施設、関連施設であれば従来の単独施設による専門医育成も許容されますが、すでに新制度に向けて連携ネットワークを構成された病院群がこれを専門医育成の枠組みとし活用することも許容されます。現行制度による認定を継続しながら、地域医療の動向や病院群による連携ネットワーク機能の検証を行ってより良い制度構築に生かしてまいります。
4.
現行外科専門医制度の骨格(NCDによる診療実績評価、必要となる手術経験数、修練期間など)はプログラム制による新制度でも変わりません。今後も新しい外科専門研修専攻医となる皆様が不利益を被ることのないよう十分に配慮してまいります。
 
 以上の方向性につきましてご意見などがございます場合には、日本外科学会事務局までお寄せ頂きたく存じます。
 
 これまで、新しい専門医制度の発足に向けて多大なるご尽力ご協力を下さいました日本外科学会会員の皆様に対して、改めまして心より深く感謝を申し上げます。また、2017年度からの外科専門研修開始を目指している皆様におかれましては、多大なるご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
 日本外科学会といたしましては、国民の皆様、日本の医療を支えるすべての皆様の声に真摯に耳を傾けながら、「質の高い専門医育成のためのより良い制度」構築を目指してなお一層の努力をしてまいりますので、引き続きご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。