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診療行為に関連した患者死亡の届出について~中立的専門機関の創設に向けて~

診療行為に関連した患者死亡の届出について
~中立的専門機関の創設に向けて~
 医療事故が社会問題化する中、医療の安全と信頼の向上を図るための社会的システムの構築が、重要な課題として求められている。医療安全対策においては、医療の過程における予期しない患者死亡や、診療行為に関連した患者死亡の発生予防・再発防止が最大の目的であり、これらの事態の原因を分析するために、死亡原因を究明し、行われた診療行為を評価し、適切な対応方策を立て、それを幅広く全医療機関・医療従事者に周知徹底していくことが最も重要である。このためには、こうした事態に関する情報が医療機関等から幅広く提供されることが必要である。
 また、医療の信頼性向上のためには、事態の発生に当たり、患者やその家族のみならず、社会に対しても十分な情報提供を図り、医療の透明性を高めることが重要である。そのためには、患者やその家族(遺族)が事実経過を検証し、公正な情報を得る手段が担保される情報開示が必要である。
 このような観点から、医療の過程における予期しない患者死亡や、診療行為に関連した患者死亡に関して何らかの届出制度が必要であると考えられる。ただ、どのような事例を誰が、何時、何に基づいて、何処へ届ける制度が望ましいかなどについては多様な考え方があり得る。
 また、このような場合、どのような事例を異状死として所轄警察署に届出なければならないかが重要な問題となっている。現在までに、少なくとも判断に医学的専門性をとくに必要としない明らかに誤った医療行為や、管理上の問題により患者が死亡したことが明らかであるもの、また強く疑われる事例、及び交通事故など外因が関係した事例は、警察署に届出るべきであるという点で、概ね一致した見解に至っている。しかし、明確な基準がなく、臨床現場には混乱が生じている。
 医療の過程においては、予期しない患者死亡が発生し、死因が不明であるという場合が少なからず起こる。このような場合死体解剖が行なわれ、解剖所見が得られていることが求められ、事実経過や死因の科学的で公正な検証と分析に役立つと考えられる。また、診療行為に関連して患者死亡が発生した事例では、遺族が診断名や診療行為の適切性に疑念を抱く場合も考えられる。この際にも、死体解剖を含む医療評価が行われていることが、医療従事者と遺族が事実認識を共通にし、迅速かつ適切に対応していくために重要と考えられる。
  したがって、医療の過程において予期しない患者死亡が発生した場合や、診療行為に関連して患者死亡が発生した場合に、異状死届出制度とは異なる何らかの届出が行われ、臨床専門医、病理医及び法医の連携の下に死体解剖が行われ、適切な医療評価が行われる制度があることが望ましいと考える。しかし、医療従事者の守秘義務、医療における過誤の判断の専門性、高度の信頼関係に基礎をおく医師患者関係の特質などを考慮すると、届出制度を統括するのは、犯罪の取扱いを主たる業務とする警察・検察機関ではなく、第三者から構成される中立的専門機関が相応しいと考えられる。このような機関は、死体解剖を含めた諸々の分析方法を駆使し、診療経過の全般にわたり検証する機能を備えた機関であることが必要である。また、制度の公共性と全国的運営を確保するために、中立的専門機関は法的にも裏付けられ、その必要な機能の一部には医療関連の行政機関の関与が望ましいと考えられる。
 更に、届出事例に関する医療従事者の処分、義務的な届出を怠った場合の制裁のあり方、事故情報の公開のあり方などについても今後検討する必要がある。
 以上により、医療の安全と信頼の向上のためには、予期しない患者死亡が発生した場合や、診療行為に関連して患者死亡が発生したすべての場合について、中立的専門機関に届出を行なう制度を可及的速やかに確立すべきである。われわれは、管轄省庁、地方自治体の担当部局、学術団体、他の医療関連団体などと連携し、在るべき「医療関連死」届出制度と中立的専門機関の創設を速やかに実現するため結集して努力する決意である。
 また、医療の信頼性向上のためには、事態の発生に当たり、患者やその家族のみならず、社会に対しても十分な情報提供を図り、医療の透明性を高めることが重要である。そのためには、患者やその家族(遺族)が事実経過を検証し、公正な情報を得る手段が担保される情報開示が必要である。

平成16年9月30日

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