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 外科領域における基礎的輸液の必要性について
平成29年8月4日
 
厚生労働省 医政局 経済課長
 三浦 明 殿
 
一般社団法人日本外科学会
理事長 渡邉 聡明
副理事長 森 正樹
 
外科領域における基礎的輸液の必要性について
 
時下、ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 
 さて、本学会は1898年の創設以来119年の歴史を持ち、39,822名の会員を擁する外科系最大の学会で、外科学に関する会員相互ならびに内外の関連学術団体との研究連絡、知識の交換、提携の場となることを通して外科学の進歩普及に貢献するための事業を行い、学術文化の発展と外科医療の向上に資することで国民の健康と福祉に寄与することを目的としています。
 外科領域の臨床現場では水・電解質管理及び栄養管理に輸液や経腸栄養剤がよく用いられますが、これらは診療科を問わず幅広く使用される医療上不可欠な医薬品です。特に基礎的輸液と呼ばれる生理食塩液、5%ブドウ糖注射液、乳酸(酢酸)リンゲル液は、歴史的にも輸液療法が開始された当初から現在まで、体液管理の基礎的な役割を担っています。嘔吐、下痢、火傷、外傷による出血などによる体液の急性的損失や、外科的ストレス、利尿薬の使用などによる細胞外液の減少時には、循環血漿量の減少をはじめとする重篤な脱水症状が生じるため、細胞外液を補充するための輸液療法が生命維持における必須治療となります。このような場合、細胞外液と浸透圧が等しい生理食塩液、乳酸(酢酸)リンゲル液が用いられます。生理食塩液は内視鏡手術、開腹手術時の腹腔内洗浄、並びに創傷面・粘膜の洗浄などにも欠かすことのできない輸液であるとともに、数多くの注射用医薬品の希釈・溶解液として用いられ、使用しない診療科がないのは言うまでもないことです。また5%ブドウ糖注射液は、水欠乏(高張性脱水)時の水分補給、薬物・毒物中毒、肝疾患などに欠かせない輸液であるだけでなく、ナトリウム投与を控える必要のある心臓、循環器系機能障害や腎不全のある患者においては各種注射用医薬品の希釈・溶解液としても用いられます。
 医療現場における必要性が非常に高く、今後も外科的治療を実施する上で大きな役割を担っているこれら基礎的輸液の多くは未だ不採算に陥っており、これらを製造・販売する企業においては事業の継続が厳しい状況が続いているだけでなく、老朽化した設備に対する新規設備投資には耐えられない実情を抱えていると聞き及んでおります。基礎的輸液の永続的な安定供給が確保されることを切に希望致します。
 
 末筆ながら、引き続き倍旧のご厚情を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
以上