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 外科専門医制度と連携したデータベース事業について
外科専門医制度と連携したデータベース事業について
 
 
 現在、我が国では外科医不足が喫緊の課題となっている一方で,外科医の適正配置と質についても問われています.このような状況の中で患者に最善の医療を提供していくためには,外科専門医のあり方を根拠に基づいて検討し,社会に示していくことが重要です.また適正な医療水準を維持するために,必要とされる資源や適切な人員配置を明らかにするとともに,外科医が関与している外科手術を体系的に把握することが不可欠であると思われます.これらの目的を達成するため,日本外科学会を基盤とする各サブスペシャルティの学会が協働して,外科専門医制度と連携した外科症例登録のデータベース事業を開始することにいたしました.
 
 
 
 本データベース事業は,外科関連専門医制度委員会の下に設置された「手術症例データベースワーキンググループ」が準備を進めてきました.日本外科学会の外科専門医制度のみならず,心臓血管外科専門医,消化器外科専門医,小児外科専門医,内分泌・甲状腺外科専門医,乳腺専門医,呼吸器外科専門医等の各サブスペシャルティ学会の専門医制度が協働して行うこと、また本事業を目的とした、独立した「一般社団法人National Clinical Database(NCD)」を設立し,管理運営を行うことがすでに決定しています.
 
 
 
 この事業が始まりますと,今後外科医は1症例につき一度の手術(症例)登録のみで複数の専門医制度への登録を行うことが可能となります.一方で今後の各種専門医申請において使用される手術実績は,本データベース事業に登録された症例のみが対象となる見込みです.また登録した症例データを活用し,各領域における臨床研究も支援していくことも可能としました.外科症例の登録は,2011年1月1日(手術日)の症例から開始される予定にしています.全ての外科手術に必須となる共通登録項目は10項目程度の簡易なものを予定しています.この事業の具体的な詳細部分については現在検討中ですが、現時点でほぼ確定されていることをお伝えするとともに、今後の進捗状況については順次ホームページで開示していきますので、ご協力を宜しくお願いいたします。
 
 
 
社団法人日本外科学会
理事長 里見 進 
外科関連専門医制度委員会
委員長 兼松 隆之
手術症例データベースWG
座長 岩中 督 
 
 
 

National Clinical Database事業概要
 
事業の目的
 
 
I  医療の質の向上
実証的データに基づいた専門医の適正配置の検定.臨床現場の労働環境の改善,適正な診療報酬の設定などによる,医療提供体制の改善提案.
 
臨床現場の主導による領域別の医療水準評価.一般市民により良質な医療を提供する上で有用な情報を臨床現場にフィードバックする.
 
迅速かつ精度の高い臨床研究(投薬,手技,デバイスの評価,リスク分析など)の実施の支援を通じた医療の発展への寄与.
 
 
II  会員に対する充実したサービスの提供(専門医等の資格申請,研究支援,会員管理)
 
専門医などの各種申請において,データベース登録症例を活用することにより,会員はより簡便かつ迅速に審査を受けることが可能となる.
 
臨床研究プロジェクトの立ち上げにあたって,NCDに申請することにより,迅速かつ安価にシステム構築及び参加施設のネットワーク形成を行うことができる.また学術的,技術的,倫理的な側面からのサポートも同時に得ることができる.
 
データベースの登録症例と認証システムと連動した形で,各種団体の会員管理システム(会費納入,演題登録,講習の受講等)を連動させることも有用.
 
 
III  学会資源の効果的な運用(人的・費用的負担の軽減)
 
運営側が複数の情報管理システムと複数のパスワードを管理し,管理・維持費用が莫大になることがないよう,情報管理システムを共有する.
 
参加施設側が同じ症例を複数の学会システムに入力することがないよう,入力インターフェイスを統一し,連続性のあるものにする.
 
システムの基盤を共有し,ソフトウェアの権利を非営利に管理(あるいは一部を公開)することで,費用対効果の高いシステム開発を行う.
 
参加団体(法人設立時)
 
本事業は,日本外科学会の外科専門医制度のみならず,サブスペシャルティ学会の専門医制度が合同で行うものである.今後外科医は1症例につき一度の登録のみで複数の専門医制度への登録を行うことが可能である.一方で今後の各種専門医申請においては,本データベース事業への登録が必須となる見込みである.
 
 
外科専門医(日本外科学会)
 
小児外科専門医(日本小児外科学会)
 
内分泌・甲状腺外科専門医(日本内分泌外科学会)
 
乳腺専門医(日本乳癌学会)
 
呼吸器外科専門医(日本胸部外科学会,日本呼吸器外科学会)
 
心臓血管外科専門医(日本胸部外科学会,日本心臓血管外科学会,日本血管外科学会)
 
消化器外科専門医(消化器外科領域については,「消化器外科データベース関連学会協議会」を組織し,関連団体との連携の中で,高度技能医等の検討を行う:
 
 
 
日本消化器外科学会,日本肝胆膵外科学会,日本食道学会,日本胃癌学会,大腸癌研究会,
日本肝癌研究会,日本膵臓学会,日本内視鏡外科学会,日本腹部救急医学会)
 
図1
 
システム構築
 
1症例ごとに,A.統計的調査,B.医療評価調査,C.臨床研究までの入力が可能となるように,システムを作成する.
 
 
A.統計的調査
手術時に登録可能な少数の項目により構成される(10項目).利用者数は数万人.外科手術については全例の登録を前提としており,登録は共通のシステムを用いる.
 
B.医療評価調査
各領域の医療水準を評価する術前・術中・術後の項目より構成される.(心臓外科領域は200項目,消化器外科領域は50項目前後となる予定).利用者数は1万人前後.システム数は外科サブスペシャルティ領域の専門医資格の数と同程度となる見込み.
 
C.臨床研究
各種リサーチクエスチョンを明らかにするための項目をプロジェクト別に追加する.追加項目数は数項目~数百項を想定.全ての施設が入力義務を負う訳ではなく,各領域の合意形成のもと参加施設や,入力対象症例の基準の設定が必要となる(同時に倫理審査も必要).利用者数はプロジェクトの性質により異なる.
 
図2
 
備考
 
 
1.
2011年1月1日(手術日)の症例から全国的な登録を開始する予定.2010年はシステム検証(少数施設によるパイロットプロジェクトの施行),同事業の関係者への周知,各団体との連携体制の構築を行う.
 
 
2.
NCDは施設や術者の特定につながるような成果物及び,情報の公開は原則として行わない
 
 
3.
集積されたデータの学術的利用は,上記2の原則のもとで各専門領域が主体となって行い,NCDはその支援を行う.データの取り扱い,成果物の種別,成果物の活用方法の決定については,各領域のデータ利用検討部門の権能とする.