医療制度改革の主要な柱として2003年度に導入された包括医療評価(Diagnosis Procedure Combination: DPC)は、高騰するわが国の医療費を抑え、医療の安全、安心、質の確保を目指すための制度であり、2003年に82の特定機能病院で開始され、2004年からは一般病院へ拡大、2008年には718病院に適用され、2009年には約1200病院(約40万床)に拡大され、わが国の病床の4割が適応範囲となるといわれており、その影響力は極めて重大であります。
DPCの導入により、わが国における医療の透明性、医療機関別の医療内容の比較などが可能となり、この制度は適正な医療評価を行なうために有用なシステムであると評価しております。一方、DPCを普及する際に、前年度の医療収入確保のために設定された調整係数が2010年度には廃止され、新たな機能係数が設定されると伺っております。この係数の設定の仕方によってDPCを導入している各医療機関は大きな影響を受け、死活問題となることも考えられます。したがって調整係数の廃止には是非とも段階を踏み、少なくとも3回の改訂で検証しながら行って頂くことを強く要望致します。
この度、本学会では、外科領域の主要病院における各臓器別の入院期間と1日当たりの基本入院料(調整係数なし)について、DPCが導入された5年前と最近のデータを比較検討しました。比較対象の外科疾患は、甲状腺疾患、乳癌、肺癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、胆嚢癌、小児外科などの手術であります。その結果、入院期間については各臓器である程度差はあるものの概ね20~30%減少しており、1日当たりの基本入院料は概ね10~15%減少しております(概要は以下を参照)。したがって各機関ともDPCの導入後、入院期間を短縮する努力の跡がみられます。一方、1日当たりの基本入院料も低下しており、この状況のもとで調整係数を廃止すると外科領域では10~15%の医療費収入の減少を招くことになります。
また、外科領域では救急患者を扱うことも多く、緊急入院患者の診療を行う際には各種画像診断・検査等が必要でありますが、現状の包括医療評価では赤字になっております。
そこで調整係数に代わって新たに設定する機能係数に関して、下記の事項を評価して頂くよう要望致します。
さらに現状の外科領域のDPC樹形図による包括評価点数に改善すべき点が認められますので外科関連学会の要望があれば適正な改善を希望致します。 |