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 遺伝学的検査の適切な実施について

2005年9月
会員各位
社団法人日本外科学会

―遺伝学的検査の適切な実施について―

 この度、日本医学会より遺伝学的検査を実施する場合に以下のガイドラインを参考にされるよう案内がございましたので、ご通知申し上げます。



遺伝学的検査の適切な実施について
 
 標記の件につき,厚生労働省では平成16年12月24日に告示した「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」の中に,「遺伝情報を診療に活用する場合の取扱い」の項目(参考資料1)を設けるとともに,診療における遺伝学的検査については,遺伝医学関連10学会が作成した「遺伝学的検査に関するガイドライン」(2003年8月公表)(参考資料2) 等を参考とすべきであることを記載しています.
 
 ヒト遺伝情報は個々人に最も適した治療・予防を行うオーダーメイド医療の基礎として医療における有用性が極めて高い一方で,1)個人に関する遺伝的易罹病性を予見しうること,2)世代を超えて,子孫を含めた家族,集団に対して重大な影響を与え得ること,3)試料収集の時点では必ずしも明らかにはされていない情報を含み得ること,4)個人又は集団に対する文化的な重要性を有し得ることなど,通常の医療情報とは異なる側面があるため,UNESCO(国際連合教育科学文化機関)では「ヒト遺伝情報に関する国際宣言」を2003年に告示し,ヒト遺伝情報の適切な取扱いを求めています.厚生労働省の今回のガイドラインはこの国際的動きに呼応したもの です.
 
参考
1)
UNESCO「ヒト遺伝情報に関する国際宣言」
 
2)
厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」
 
3)
遺伝医学関連10学会「遺伝学的検査に関するガイドライン」(2003年8月)
 
(日本遺伝カウンセリング学会,日本遺伝子診療学会,日本産科婦人科学会,日本小児遺伝学会,日本人類遺伝学会,日本先天異常学会,日本先天代謝異常学会,日本マススクリーニング学会,日本臨床検査医学会(以上五十音順),家族性腫瘍研究会)
 
 
参考資料1
 
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」
 (厚生労働省 2004.12.24告示)
 
[抜粋]
10.遺伝情報を診療に活用する場合の取扱い
 遺伝学的検査等により得られた遺伝情報については,遺伝子・染色体の変化に基づく本人の体質,疾病の発症等に関する情報が含まれるほか,生涯変化しない情報であること,またその血縁者に関わる情報でもあることから,これが漏えいした場合には,本人及び血縁者が被る被害及び苦痛は大きなものとなるおそれがある.したがって,検査結果及び血液等の試料の取扱いについては,UNESCO国際宣言,医学研究分野の関連指針及び関連団体等が定めるガイドラインを参考とし,特に留意する必要がある.
 また,検査の実施に同意している場合においても,その検査結果が示す意味を正確に理解することが困難であったり,疾病の将来予測性に対してどのように対処すればよいかなど,本人及び家族等が大きな不安を持つ場合が多い.したがって,医療機関等が,遺伝学的検査を行う場合には,臨床遺伝学の専門的知識を持ち,本人及び家族等の心理社会的支援を行うことができる者により,遺伝カウンセリングを実施する必要がある.
 
 
参考資料2
遺伝医学関連10学会「遺伝学的検査に関するガイドライン」(2003年8月)
(日本遺伝カウンセリング学会,日本遺伝子診療学会,日本産科婦人科学会,日本小児遺伝学会,日本人類遺伝学会,日本先天異常学会,日本先天代謝異常学会,日本マススクリーニング学会,日本臨床検査医学会(以上五十音順),家族性腫瘍研究会)
 
[要旨]
 遺伝学的検査においては,生涯変化しない個人の重要な遺伝学的情報が扱われるため,検査実施時のインフォームド・コンセント,個人の遺伝学的情報の保護,検査に用いた生体試料の取り扱い,検査前後の遺伝カウンセリングなど慎重に検討すべき問題が存在している.また個人の遺伝学的情報は血縁者で一部共有されており,その影響が個人に留まらないという際立った特徴も有していることから,新たな生命倫理規範が求められていた.遺伝医学関連学会では代表者が集まり,2001年に「遺伝学的検査に関するガイドライン(案)」を発表し,ある一定の評価を得たが,その後,ガイドライン制定に賛同する2学会および法学専門家,生命倫理専門家も加えて内容を検討し,2003年に公表したのがこのガイドラインである.
 遺伝医学関連学会の会員はこのガイドラインを遵守することにより,遺伝学的検査を臨床の場で適切に実施することが求められるが,遺伝医学関連学会の会員以外の医学研究機関,医療機関,臨床検査会社,遺伝子解析施設,遺伝子解析の仲介会社,健康関連企業,マスメディアなどの関係者も,このガイドラインを通じて遺伝学的検査のもつ意味を理解し,遵守することにより,遺伝学的検査が人類の健康と福祉に貢献するものとなることが期待される.
 全体の構成としては,「はじめに」の項で,このガイドラインが作成されることになった背景と趣旨が述べられ,次に遺伝学的検査を行う際の留意点が総論として,I.本ガイドラインの対象,II.遺伝学的検査の実施,III.遺伝学的検査の結果の開示,IV.遺伝学的検査と遺伝カウンセリング,が記載されている.つぎに各論として,V.目的に応じた遺伝学的検査における留意点の項が設けられ,遺伝学的検査が考慮される6つの場面(1.発症者を対象とする遺伝学的検査,2.保因者の判定を目的とする遺伝学的検査,3.発症予測を目的とする遺伝学的検査[発症前検査および易罹患性検査],4.薬物に対する反応性の個体差を判定することを目的とする遺伝学的検査,5.出生前検査と出生前診断,6.新生児マススクリーニング検査)における留意点が詳細に記載されている.