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 気管切開時の電気メス使用に関する注意喚起のお知らせ
 
日本外科学会医療安全管理委員会
 
<<注意喚起>>
気管切開時の電気メス使用に関する注意喚起
 
 高濃度酸素投与下の人工呼吸管理中の患者に対して、電気メスを用いた気管切開術を施行した際に、塩化ビニール製の気管チューブへの引火が原因で事故が発生していることが報告されており、PMDA医療安全情報(2010年2-4月)(http://www.info.pmda.go.jp/anzen_pmda/file/iryo_anzen14.pdf)で注意喚起がなされています。
 このような引火事故は重大な気道熱傷を生じ、患者に致死的な結果を招く可能性が高いことから、日本外科学会においても医療安全管理委員会での討議の結果、会員の皆様に注意喚起を行うことにいたしました。
 
<引火事故の要因>
引火事故の要因として、1) 発火元(電気メス、レーザー)、2) 可燃物(アルコール系消毒剤、可燃性気管チューブ、体脂肪や凝固血液、など)、3) 助燃性の気体(高濃度酸素(30%以上や笑気の併用)が挙げられます。
※鼻カヌラなどで酸素投与を行った場合でも、局所の酸素濃度は40%を超えると報告されており、引火事故防止の観点からは、ルームエアーで呼吸状態に問題のない症例については酸素投与を控えることが望ましいと考えられます。
 
<予防策>
事故発生防止のための対策として、以下のような事項が挙げられます。
 
1) 引火事故に関する知識を共有、関係者全員に注意喚起を行う。
2) 患者に高濃度酸素投与が必要な状態かどうか再度確認を行う。
3) 高濃度酸素投与下に電気メスの使用が予定されている場合は、事前に打ち合わせを行い、事故発生時の役割分担を確認する。
4) 術野への酸素の漏れ出しを遮断するため、気管チューブのカフは十分にふくらませておく。カフなしのチューブを使用している場合、可能であればカフ有りのものに交換する。交換不可能の場合は、投与酸素濃度を下げる。
5) 事故発生に備え、生理食塩水を用意する。
6) 気管壁の操作に移る前には、酸素濃度を可能な限り下げておく。
7)気管壁の切開時および気管壁開窓後には、原則として電気メスを使用しない。
切開時に使用しなくても、いったん気管孔を開けた後に、止血等の目的で気管開窓部や周囲組織に電気メスを使用した事例で引火事例が発生している。
 
 
<事故発生時の対策>
事故発生時には迅速に以下のような対処を行うことが必要です。
 
1) 気管チューブ抜去する。
2) 酸素を停止する。
3) 生理食塩水か滅菌蒸留水をかけ、消火する。
 
 
消火が確認されたら
4) 再挿管あるいは、 マスクなどで呼吸再開。可能であれば酸素、笑気は使用しない。
5) 気道内に燃え残った気管チューブが遺残していないかを確認する。
6) 気管支鏡で気道の状態を観察する。
7) 救急部や専門診療科にコンサルトし、患者の状態を評価し、迅速に集学的治療を開始する。
 
<参考文献>
The American Society of Anesthesiologists Task Force on Operating Room Fires. Practice advisory for the prevention and management of operating room fires. Anesthesiology 2008; 108:786-801
 
<参考資料>
大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部ホームページ.
文部科学省特別経費 医療安全教育・トレーニングプログラム開発事業
1.チームパフォーマンス (3)ブリーフィング・ディブリーフィングに関する教材